無症候性CK上昇のアプローチについてまとめてみた

先日インターネット症例検討会で作成したスライドの一部を共有します。

症例が「症状に乏しいがCKが上昇する患者」というプレゼンテーションだった(てゆーかそのことしか最初の情報がなかった)ことから、症例プレゼン前に佐田が考えた思考過程を共有するスライドになりました。Cleve Clin J Med . 2016 Jan;83(1):37-42.に「Approach to asymptomatic creatine kinase elevation」というそのまんまのタイトルの総説があり、とても良くまとまっていたので、それに基づいて記載します。

まずはCK上昇の特徴を知ると良いでしょう。
①CKは異常値を取りやすい
:若い人だと男性の19%、女性の5%CK1000弱までの異常をもたらすことがある

②運動で上昇しやすい:24時間以内の運動があれば、基準値の30倍まで症状することもあり、1週間程度で正常化する
③薬剤性にはいつも要注意:スタチンが有名、フィブラート、βblocker、ARB、HCQ、コルヒチン、クロナゼパム等も
④マクロCK血症:免疫グロブリンの結合体により形成される巨大な酵素複合体のこと。I型は一般人の1.2%に存在、II型は自己免疫疾患と合併する。悪性腫瘍などを背景とすることも
⑤大穴は心臓:心筋梗塞・心筋炎などの心筋障害は必ず除外!

その次に、筋肉以外からくる原因および筋肉からくる原因を網羅的に考慮するとよいでしょう。頻度が高いのは甲状腺機能低下などかもしれません。

ただし、「本当に筋力低下がないかどうか」を正確に診察して把握する必要があります。最も筋力が落ちやすいのは個人的には「頸部を前屈させる筋肉(胸鎖乳突筋)」と思っています。上下肢に筋力低下がない場合でも、しばしば頸部前屈に問題があることが経験されます。

筋力低下を伴わないCK上昇へのアプローチ:佐田ver.としては下記の通りです・。

①筋力低下が最初に出るところは胸鎖乳突筋!
 そこがあったら有症状として対応
②症状が乏しいなら、まず筋肉外からアプローチ
 薬剤、ホルモンマクロCK/悪性腫瘍は除外
③筋肉外が除外できれば、自己免疫性筋炎は大事
 だけどジストロフィー、代謝疾患、神経疾患
もCK上昇を起こすことに注意

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