血液培養が1セットのみ陽性のとき、「真の菌血症の割合」はどの程度か?についてまとめてみた

「血液培養から菌が1セットが生えたら、それは菌血症?」という、よく悩む質問(今日はインドネシアの留学生から質問を受けた)があるので、それについてまとめます。
簡単に言えば生えてくる微生物により異なりますが
・黄色ブドウ球菌、肺炎球菌
・腸内細菌/緑膿菌などのGNR
・カンジダ
は1セットでも生えてくれば真の菌血症と考えて良いと思います。一方で、
・コアグラーゼ陰性ブドウ球菌
・コリネバクテリウム/バチラスなどのグラム陽性桿菌
が1セットのみ生えても、真の菌血症である割合は極めて低いです。その根拠論文は2つです。
 
18歳以上の患者1706名から採取された血液培養のうち、陽性となった2669件をもとにしたprospective cohort studyです。このコホートがもつprimary outcomeは「真の血液培養陽性例の死亡率」です。が、僕はしばしばこの論文を「血液培養1セット陽性時の真の菌血症率は?」の根拠として用いています。
血液培養陽性の定義としては
「血液培養から菌が検出された場合で。以前血培が陽性だった患者の場合は、その時点から2日以上経過しており且つInvestigator以前の血液培養結果と関連が無いと判断したときのみを血液培養陽と判断する」とあります。
一方で、血培陽性例が真の菌血症か否かは、下記3点で判断されます
①血培陽性の数 ②感染巣の培養の存在 ③臨床症状
ちなみに「何人のInvestigatorで評価した?」とか「どのような臨床症状を血液培養陽性と捉えた?」というポイントに関しては記載がありません。
結果としては、1706名の患者から得られた2270件の陽性血液培養episodeから、2669件が培養として同定され、そのうち真の菌血症と判断されたのは1361件(51%)、コンタミネーションと判断されたのは1101件(41%)、不明例は204例(8%)でした。真の菌血症のうち71%が感染巣を同定でき、29%は血液培養のみ陽性でした。IVカテーテルが感染巣だと思われるケースが23%存在していました。尿路感染が12%、呼吸器感染が8%と続いています。
こんな背景の患者層において、検出された菌と「真の菌血症」との関連は以下のように捉えられています。この表はしばしば血液培養の捉え方を判断する上で用いられる表ですので、知っておいて損は無いと思います。
真の菌血症と診断される割合は、
1)黄色ブドウ球菌:93%
2)
Candida:98ー100%
3)グラム陰性桿菌:ほぼ90%以上(ただしAcinetobacter spp.は67%)
一方、
4)CNS:10
)Corynebacterium spp.:88%
ほぼコンタミと判断されるかと思います。また、
グラム陽性菌の中でもviridans group streptococciはかなり真の陽性である可能性が下がります。Enterococcus spp.だと70%程度であり、これもまた悩みますねー。。。
ちなみに、1990年代にも同様の報告が為されています。その報告では下記のようになります。
黄色ブドウ球菌が生えた場合は87%が真の菌血症とされています。一方で、CNSが血液培養から1セット生えた場合、真の菌血症である割合はわずか12%です。結果としてはそれほど変わりませんね。この25年で特に結果が変わらないことから鑑みて、これらの情報はかなり確定的かなと思います。
今後、血液培養が陽性になったけれどフォーカスが不明の場合、「真の菌血症か否か?」を悩むことがあると思います。そのときには御参考にして頂ければと思います。

 

 

以上です!編集長!!
タイトルとURLをコピーしました