肺結核/播種性結核におけるIGRAの感度/特異度についてまとめてみた

不明熱やくりかえす肺炎の鑑別に肺結核は今でも大事な鑑別の1つですが、潜在性結核を診断するためのツールあるインターフェロンγ遊離試験(interferon-gamma release assays; IGRA)が活動性結核における診断ツールにつかえるか?と言う点については正確な理解が必要かと思われます。

結論から言うと、

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・肺結核・播種性結核においてもIGRAは結核感染の
完全な除外には使えないし、特異性も低い
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と言うことになります。2つの文献結果を示します。

文献1:中国における他施設共同前向き研究(Sci Rep. 2018 Apr 12;8(1):5882.)です。肺結核が疑われる患者においてQFT・TSPOTを測定し、「Confirmed TB; 培養陽性185名」「Probable TB;培養陰性だが結核が疑わしく治療介入した298名」「non-TBl;結核否定的263名」の3群に分けた場合の感度特異度をみたものです。

Confirmed TB群でもIGRAの感度は88%と低いことがわかります。 また、特異度は60%程度と、ほとんど当てになりません。

この研究では結核陽性患者の割合がかなり高い=いわゆる検査前確率が高いと言うことになります。日本の結核罹患率は2020年にとうとう10.1(人口10万対)まで低下しており、ほぼほぼ低蔓延国にまで低下しています(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000175095_00004.html)。となると結核の検査前確率が低くなってきていますので、検査後確率はさらに低いことが予想されます。

文献2:中国の単施設における播種性結核患者101名の検討です(Medicine (Baltimore) . 2015 Jul;94(28):e1094.)。
disseminated TBとは
・disseminated TB=骨髄に結核菌がいる or 2臓器以上の結核菌検出
or 粟粒結核領域が2箇所以上にある
・miliary TB=肺に粟粒陰影がある患者
・non-miliary TB=ない患者
という定義です。

今回はprobable disseminated TB患者も含んだ101名(培養陽性、PCR陽性ともに7割程度)ですので、確定的な診断がされていないというlimitationがありますが、それでも

播種性結核におけるT-SPOTⓇ陽性の感度は90% (播種性結核にもかかわらず、、、) となります。

Take home messageは下記です。
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・肺結核・播種性結核においてもIGRAは
 結核感染の完全な除外には使えないし、
 特異性も低い
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以上です!編集長!!

佐田 拝

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